アメリカンパイ・サーガ


40歳の童貞男』よりもずっと前から童貞卒業という壮大なテーマを扱ってきたこの『アメリカンパイ』サーガ。ついに5作目まできたのかと感慨深い。童貞をこじらせて大トラブルに発展して……というお約束はいつも通りなんだけど、最新作5作目はオープニングが壮絶でよかった。バアさんが孫(主人公)の●●ニーを見てしまい驚いて絶叫したところで孫が暴発! それを浴びながらショック死。死に方としては最低だろう。ガソリンスタンドでガソリンのかけ合いをして、一服しようとタバコに火をつけた瞬間に爆死する『ズーランダー』に出てたバカなモデル以上に最低だ。


それはともかく、童貞男の悩ましい悶々とした日々とそれをいかに乗り越えてハッピーエンド(童貞卒業)を華々しく迎えるかを描くのが、このサーガの基調だ。童貞は周囲のモテ男たちにからかわれながら自信を失い、暴走を繰り返し、最後には愛に気づいてハッピーエンドを迎え……次回作のオープニングではさっそく破局しているというのがお約束になっている。


この作品中にこんなセリフがある。

「高2で童貞なら問題ないけど、高3で童貞だとヤバいんだ」

そんな大差ねえだろうと笑い飛ばすことはできないのが男というものだろう。これは確かに身に覚えがある。


結局、なんでこんなバカな映画を好き好んで見てるのか自分でも最近よくわかんなくなってきてるんだけど、結局、誰もが通過する悩ましい日々を「いい話」(←これ重要)として消化してるところがいいんだろうなと思う。人を呪わば穴二つというけどムカつくことや悩み事をなかなか人に話せない状況で自分の中に溜め込んでしまうと危険な状態になる。悩んでる自分、自信のない自分、誰かを呪う自分、そんなようなものを映画の中に見つけて笑う。これが出来るおかげで精神的にかなり楽になる。童貞が笑い者になるコメディが最近多いけど、その手の映画が好きなのはそんな理由かな、となんとなく自己分析をしてみたが、当たってるのか?


質は違えどいまだにあらゆる面で自信のない自分にあの頃の気持ちを思い出させてくれるのもいい。奮い立たせてくれると言ってもいい。


いや、べつにそういう意味じゃなく。